張作霖爆殺事件（満州某重大事件） 1928年
1928（昭和３)年6月4日、奉天近郊で満州軍閥の指導者張作霖が乗った列車を日本の関東軍が爆破して張作霖を暗殺した事件。
当時の中国は、地方に割拠する軍閥と呼ばれる軍事指導者たちが、中国を分割統治していた。
日露戦争後、満州の利権を獲得した日本は、満州軍閥の指導者張作霖を利用して、満州を支配下に置くよう画策していた。
しかし中国国民党と中国共産党が協力関係を結び成立した国民政府が国民革命軍を編成し、中国を統一するために北伐（北方軍閥との戦い）を開始した。
国民革命軍は有利に戦闘を進め、張作霖の敗北が濃厚になると、満州が国民政府の手に落ちることを恐れた関東軍は、もはや利用価値のない張作霖を排し満州を一挙に武力占拠することを考えた。
関東軍の河本大作大佐は、張作霖を国民政府が暗殺したかのように見せかける偽装工作を行い、日中両軍の衝突を誘発し、混乱に乗じて関東軍を出動させ満州を支配することを画策した。
こうして、関東軍は中央司令部に諮らず独断で、張作霖を乗っていた列車ごと爆破し殺害した。しかしこの作戦は内閣の同意を得ていなかったため、満州占領は行われなかった。
田中義一首相は「満州某重大事件」と呼び、事件の真相を国民に隠そうとした。また関係者処分に消極的であったため、昭和天皇に問責され、1929（昭和４）年に内閣は倒れた。
【補説】
関東軍：ロシアから譲渡された南満州鉄道事業の保護や、中国からの租借地である遼東半島先端の関東州の守備を目的に設置された日本の軍隊。