天皇の人間宣言 神格の否定 1946年
1946年1月1日、天皇がみずからの神格を否定した詔勅。
官報号外によって発布された。その中の一節を現代語訳すると、およそ次のようになる。
「天皇と国民との結びつきは、お互いの信頼と敬愛とに基づくものであり、神話と伝説によって生まれたものではない。天皇=現人神とすることで日本人は他の民族より優れていると思ってはならない」
この中で、「天皇は人間」という表現はないが、神格が否定されていることから、当時報道各社がこれを「天皇の人間宣言」と呼び、それが定着した。
1945(昭和20)年9月から12月にかけて、GHQは日本の戦争指導者らを次々に逮捕した。それとともに内外で天皇の戦争責任問題も取り沙汰された。
しかしGHQは、昭和天皇の退位や訴追がもたらす日本国内の混乱を避け、むしろ天皇の存在が日本の統治において必要と考えたため、天皇を戦犯容疑者に指定しなかった。このことが、「天皇の人間宣言」の背景にあると考えられる。