ノルマントン号事件 領事裁判権 1886年

2023年5月1日

1886(明治19)年10月24日、イギリス船籍の貨物船ノルマントン号が横浜から神戸に向かう途中、紀州沖で座礁・沈没、日本人乗客25人全員が水死した事件。

ビゴー風刺画 Wikipediaより

ボートで脱出したのはドレーク船長以下乗組員だけで、日本人乗客は全員取り残された。

当時イギリス人に対する裁判権はイギリス領事にあり領事裁、事件の審判は神戸市のイギリス領事館内で行われた。この海難審判では船長以下全乗組員を無罪としたが、世論は判決が差別的であると怒り、日本政府も世論に押されて船長を領事館裁判所に告発した。

神戸での予審終結を受けて、横浜市駐在イギリス領事館裁判所は船長に禁固3ヵ月の判決を下したが、死亡した日本人乗客に対する賠償金はなかった。

この事件は、当時活動を強めつつあった大同団結運動派を刺激し、これを契機に領事裁判権を含む不平等条約撒廃の世論が高まった。

【補説】

領事裁判権:領事が駐在国の自国民に対し、本国法に従って裁判を行う権利。この場合、居住国の法律の適用や裁判権が排除されるため治外法権ともいう。

 

明治・大正

Posted by kojiro